『悲劇的に似ていない、ロックスターの肖像6』

初めてプリンスを意識したのは大学生の頃だった。

 

サークルの先輩に、

「菊永はプリンスの若い頃にそっくりだなー」と言われたことがあったのだ。

 

当時の僕は、プリンスという有名なアメリカのアーティストがいる、

ということくらいしか知らなかった。

 

今考えるとおこがましい話だけど

「誰ですかそれ?」くらいなことを言って

すました顔しながらも、

ロックスターに似ていると言われて嬉しくて

陰でプリンスについて調べたのを覚えている。

 

キモいなー自分(笑)

 

けれど当時、僕にとってのプリンスは

目の前を一瞬で飛び去る未確認飛行物体のような存在で、

僕の目も耳も、頭も何もかもが追いつけず、

その姿をとらえることができなかった。

 

手を伸ばしても、残像さえつかめなかった。

 

なんなんだ今の?

くらい。

 

それから長い年月が過ぎた。

 

僕が相変わらず、プリンスの残り香さえ嗅げずにいた2016年。

プリンスはこの世を去ってしまった。

 

あれから5年。

 

少しずつ未確認飛行物体の通り道を辿ると、

音楽や映像が宝の山のように埋まっていた。

 

絵に描いたのは、

僕のお気に入りの1曲である「Guiter」というナンバーを

スタジオライブで演奏するプリンスだ。

 

ちょうどオーディエンスにレスポンスを求める直前。

 

ステージのプリンスは、

動きだけでなく、存在自体が物凄いスピード感だ。

 

とてつもなくスマートで、

整った眉毛や目、顎の角、鼻の形はもちろん、

広く開いたシャツから覗くワイルドな胸毛さえも、整然として見える。

 

僕は相変わらずその存在のスピード感に圧倒される。

 

ただ、ただ、カッコいい。

 

物凄いスピードで通り過ぎて行ったから、

まだ知らないプリンスがいっぱいいる。

 

やっと残像くらいはつかめただろうか。

 

いや、この絵を描くのに、

今まで描いた絵の中で一番多く描き直しをしたが、

まったくとらえられた感触がない。

 

まだ、残像さえつかめません。

ハッピーバースデー、プリンス先輩。

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【菊永真介ソロ作品 リリックMV】

「あおむけの宇宙」

https://youtu.be/OGv9sYUxlkM

「貝殻の部屋」

https://youtu.be/HV4eSJG_UDg

「HAPPY?」

https://youtu.be/OGv9sYUxlkM

 

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【菊永真介ソロ作品 サブスク配信】

Apple Music

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Spotify

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菊永真介ソロWebサイト

http://s-kikunaga.jimdofree.com